基礎科目

エイズの基本的な内容について

koro

ころちゃん先生:今日は、エイズについてお話ししましょう。エイズは、体を守る免疫細胞がウイルスに襲われて弱くなる病気です。
免疫細胞が弱くなると、体が他の病気に対抗できなくなります。エイズを引き起こすのはHIVというウイルスです。

生徒さん:HIVって何ですか?

ころちゃん先生:HIVは、「ヒト免疫不全ウイルス」の略です。このウイルスが体に入ると、免疫細胞(特にCD4陽性T細胞と呼ばれるもの)を攻撃し、破壊します。
これが、免疫力が低下する原因です。
ウイルスが街を襲う怪獣だとしたら、CD4陽性T細胞はその怪獣を倒すヒーローのようなものです。怪獣がヒーローを倒すと、街が守れなくなってしまいます。

生徒さん:なるほど。じゃあ、どうやってHIVに感染するんですか?

ころちゃん先生:HIVは感染者の体液を介して感染します。
性行為や、輸血、血液製剤、使い回された注射針などを通じて感染が広がります。
また、感染した母親から赤ちゃんへの感染もあります。

生徒さん:それで、どうやってエイズが発症するんですか?そもそもエイズってすぐに発症しないと聞いたのですが。

ころちゃん先生:それは良い質問ですね。
実際、HIVに感染したからといって、すぐにエイズが発症するわけではありません。感染してからエイズが発症するまでの期間は、潜伏期と呼ばれています。

最初にHIVに感染すると、風邪のような症状が出ることがあります。
その後、ウイルスは体の中で潜伏し、免疫力が次第に低下していきます。

この潜伏期間は、個人差がありますが、だいたい5〜10年ほどです。この間、HIVは体の中でコツコツとCD4陽性T細胞を破壊していきます。

CD4陽性T細胞がある一定数以下になると、エイズが発症します。
このとき、本来は体に大きな影響を与えない病原体に対しても、体がうまく戦えなくなり、いわゆる日和見感染症が発症しやすくなります。
こうして、エイズは発症し、さまざまな病気が体に影響を与えるようになります。

生徒さん:なるほど。では、エイズが発症したらどうやって治療するんですか?

ころちゃん先生:エイズの治療には、HIVの増殖を抑える薬が使われます。逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬という薬があります。これらの薬は、、、

生徒さん:逆転写酵素って何ですか?

ころちゃん先生:逆転写酵素は、HIVウイルスが持っている特別な酵素で、ウイルスの遺伝情報(RNA)を、人間の細胞内にあるDNAに変換する働きがあります。
ウイルスは、この逆転写酵素を使って、自分の遺伝情報を人間の細胞に組み込むことができます。

例え話で言うと、逆転写酵素は、ウイルスが持っている特殊な「翻訳機」のようなもので、ウイルスの言葉(RNA)を人間の細胞が理解できる言葉(DNA)に変換して、細胞内に組み込むことができるんです。

逆転写酵素阻害薬は、この翻訳機(逆転写酵素)の働きを止めることで、ウイルスが人間の細胞に遺伝情報を組み込むことを防ぎます。これによって、ウイルスの増殖が抑えられ、免疫細胞の減少を遅らせたり、免疫力の低下を抑えたりすることができます。

生徒さん:なるほど!じゃあ、プロテアーゼ阻害薬って何ですか?それも何か特殊な働きがあるんですか?

ころちゃん先生:プロテアーゼ阻害薬も、HIVの増殖を抑える働きがある薬です。
プロテアーゼは、HIVウイルスが持っているもう一つの特別な酵素で、ウイルスが新たに作られる際に、ウイルスのたんぱく質を適切な形に切り分ける役割があります。

例え話で言えば、プロテアーゼはウイルスの「はさみ」のようなもので、ウイルスが新しいウイルスを作るために必要な部品を正確な形にカットしているんです。

プロテアーゼ阻害薬は、この「はさみ」(プロテアーゼ)の働きを止めることで、ウイルスが正確な形の部品を作ることができなくなります。これによって、ウイルスの増殖が抑えられ、免疫細胞の減少を遅らせたり、免疫力の低下を抑えたりすることができるんです。

生徒さん:なるほど。でも、これらの薬でエイズは完治するんですか?

ころちゃん先生:残念ながら、これらの薬はエイズを完治させることはできません。
しかし、適切な治療を続けることで、エイズの進行を遅らせることができ、感染者の生活の質や寿命を大幅に向上させることができます。
また、治療を続けることで、感染力も減り、他の人への感染リスクも低くなります。それに加えて、日和見感染症などが発症した場合には、その病気に対する治療も行われます。

生徒さん:エイズのワクチンはあるんですか?

ころちゃん先生:エイズのワクチンは、現在のところ開発されていません。HIVは変異しやすいウイルスであるため、ワクチン開発が難しいのです。ですが、世界中の研究者たちは、エイズのワクチン開発に取り組んでいます。いつか、エイズを予防するワクチンが開発されることを願っています。

生徒さん:それは大変ですね。最後に、HIV感染を予防する方法は何ですか?

ころちゃん先生:HIV感染を予防するためには、まず性行為においては適切なゴムの使用が重要です。
これによって、HIVだけでなく他の性感染症も予防することができます。
また、薬物使用時には、決して他人と注射針を共有しないことも大切です。輸血や血液製品に関しては、現在は献血者のHIVスクリーニングが行われているため、感染リスクは非常に低くなっています。

妊娠を希望するHIV感染者の場合には、医療機関で適切な相談や治療を受けることで、母子感染のリスクを低減することができます。そして、感染リスクが高い職業に就いている方は、事前に適切な予防策や対処法を学ぶことが重要です。

生徒さん:ありがとうございます。今日の説明で、エイズについてよく理解できました!

合わせて読みたい。『エイズの診断方法について』

ABOUT ME
ころちゃん
ころちゃん
歯科医師・歯学博士
PAGE TOP
記事URLをコピーしました