地域医療をまとめてみよう
生徒さん:先生、地域医療について教えてください!医療機関と医療圏の違い、かかりつけ医の要件、地域連携クリニカルパスの目的などが気になっています。
ころちゃん先生:もちろんです。さっそく始めましょう。まず、医療機関は一次、二次、三次という3つのレベルに分かれています。
プライマリヘルスケアとは
一次医療機関は、かかりつけ医やかかりつけ歯科医で、プライマリヘルスケアを提供しています。これは、診療所で行われる基本的な医療です。
生徒さん:プライマリヘルスケアってよく聞くけど、なかなかイメージしづらいなぁ。
ころちゃん先生:プライマリヘルスケアとは、基本的な医療のことです。例えば、風邪をひいたときに行くお医者さんの診療所で受ける治療がプライマリヘルスケアです。
小学生に例えるなら、学校で習う基本的な勉強(国語や算数など)がプライマリヘルスケアに相当します。それに対して、もっと難しい勉強(例えば、高校の物理や化学)は、上位の医療機関で行われる治療になります。
プライマリヘルスケアは、日常的な健康の問題や病気の初期段階で対応するための医療です。これを受けることで、健康を維持し、病気が悪化しないようにすることができます。
生徒さん:なるほど、プライマリヘルスケアは、身近なお医者さんで受けられる基本的な医療なんですね。
ころちゃん先生:その通り!
また、良いかかりつけ医には、近接性、包括性、協調性、継続性、責任性の5つの要件があります。
近接性は、身近でアクセスしやすいこと。包括性は、患者さんの全体像を把握すること。協調性は、他の医療機関と連携して治療を進めること。継続性は、長期的に診療を続けること。
責任性は、適切な紹介やフォローアップを行うことです。
生徒さん:あーそれ聞いたことあります。プライマリヘルスケア、イメージつきました。
医療機関の分け方
ころちゃん先生:それで、そのプライマリヘルスケアを担っているのが、一次医療機関になります。
二次医療機関は、地域医療支援病院のことで、高度な検査や入院治療を提供しています。
そして、三次医療機関は特定機能病院で、高度先進医療を行っているんですよ。
例えると
一次医療機関は、地元のスーパーマーケットのようなものです。日常的なニーズに対応し、みんながよく利用する場所です。これは、かかりつけ医やかかりつけ歯科医で、基本的な医療(プライマリヘルスケア)を提供します。
二次医療機関は、デパートのようなものです。より多様で専門的なニーズに対応し、いろいろな品揃えがある場所です。これは、地域医療支援病院で、高度な検査や入院治療を提供します。
三次医療機関は、大型ショッピングモールや複合施設のようなものです。最先端の設備や専門家が集まっており、一般的な場所では手に入らないものやサービスが提供されます。これは、特定機能病院で、高度先進医療を提供します。
生徒さん:それぞれの役割がよくわかりました!では、医療圏はどう違うんですか?
医療圏の分け方
ころちゃん先生:医療圏も、一次、二次、三次の3つに分かれています。一次医療圏は区市町村、二次医療圏はいくつかの区市町村が組み合わさった単位、そして三次医療圏は都道府県のことです。
例えるなら、これは遊び場に行く範囲の広がりに似ています。
一次医療圏は、自分の家の近くの公園や遊び場に行くことに似ています。これは、自分の住んでいる区市町村の範囲で、身近な医療を受けられます。
二次医療圏は、もう少し遠くの公園や遊び場に行くことに似ています。これは、いくつかの区市町村が集まったエリアで、より専門的な医療を受けられます。
三次医療圏は、遠くの大きな遊園地やテーマパークに行くことに似ています。これは、都道府県全体の範囲で、最も高度な医療を受けられます。
生徒さん:なるほど、医療圏は、近いところから遠いところまで、医療を受けられる範囲の広がりなんですね。
救急医療機関も分かれる
生徒さん:そういう要件があるんですね。救急医療機関にも分類があるんですか?
ころちゃん先生:そうです!救急医療機関も一次、二次、三次の3つに分けられます。一次救急医療機関は、軽症患者に対応する初期救急医療機関で、休日夜間救急センターや在宅当番医制があります。
二次救急医療機関は、24時間体制で救急患者を受け入れる医療機関で、救急医療の常勤医師や専門病床、手術も可能な条件が必要です。
そして、三次救急医療機関は、重症・重篤患者に対応する24時間体制の救急医療機関で、救命救急センターや高度救命救急センターがあります。
生徒さん:すごく詳しく説明してくれてありがとう!
最後に、地域連携クリニカルパスって何ですか?
地域連携クリニカルパス
ころちゃん先生:地域連携クリニカルパスは、地域の医療機関が連携して治療を行うための共通のクリニカルパスです。例えば、急性期病院から回復期病院へ移行する際に使われます。これにより、患者さんに切れ目のない医療が提供されることが目的です。
過去問演習108A-88
ころちゃん先生:では一緒にこの過去問(108A-88)を解いてみましょう。問題は、かかりつけ歯科医の機能として誤っているものを1つ選ぶというものですね。それぞれの選択肢について考えてみましょう。
生徒さん:わかりました!それぞれの選択肢を確認してみますね。
a 健康教育
かかりつけ歯科医は、患者に口腔衛生に関する健康教育を行うはずです。これは正しい機能だと思います。
b 訪問診療
かかりつけ歯科医は、必要に応じて訪問診療を行うことがありますので、これも正しい機能だと思います。
c 全人的医療
かかりつけ歯科医は、患者の全体的な健康を考慮して診療を行いますが、これは全人的医療というよりは、歯科医療に特化しています。これは微妙ですね。
d 自己完結型医療
かかりつけ歯科医は、他の医療機関と連携して患者の治療を行うことがあります。自己完結型医療ではないので、これは誤っている機能かもしれません。
e 生涯を通じての診療
かかりつけ歯科医は、患者の生涯を通じて診療を行います。これは正しい機能だと思います。
ころちゃん先生:素晴らしい分析ですね!では、最も誤っている機能はどれだと思いますか?
生徒さん:うーん、検討した結果、選択肢dの自己完結型医療が誤っている機能だと思います。
ころちゃん先生:お見事です!選択肢dの自己完結型医療が誤っている機能です。かかりつけ歯科医は、他の医療機関と連携して患者の治療を行います。他の選択肢は、かかりつけ歯科医が持っている正しい機能です。
全人的医療とは?
Cの選択肢は「全人的医療」について迷っていましたね。
これは、患者さんの体のすべての部分や、心の健康も考えて治療を行うことを意味します。
例えば、想像してみてください。あなたがお菓子を食べすぎて、歯が痛くなってしまったとしましょう。歯科医さんは、歯の治療だけでなく、どうやったらお菓子を食べすぎないか、口の中をきれいに保つ方法など、体全体の健康についてもアドバイスしてくれます。
このように、かかりつけ歯科医は、患者さんの口の中だけでなく、全身の健康も考慮して治療を行うので、選択肢Cの全人的医療は正しい機能と言えます。
生徒さん:なるほど、全人的医療は体全体の健康も考慮して治療を行うんですね。ころちゃん先生、ありがとうございました!
過去問演習109C-17
ころちゃん先生:では次にこの問題(109C-17)も一緒に解いてみましょう。問題は、地域医療連携の主たる目的を選ぶというものですね。それぞれの選択肢について考えてみましょう。
生徒さん:それぞれの選択肢について考えてみます。
a 医療事故の回避
地域医療連携は、医療事故の回避も目指すかもしれませんが、それが主たる目的ではないと思います。
b 先進医療の普及
先進医療の普及は重要ですが、地域医療連携の主たる目的とは言い難いですね。
c 病院の紹介率の上昇
病院の紹介率の上昇は、地域医療連携の結果として起こるかもしれませんが、主たる目的ではないと思います。
d 切れ目のない医療の提供
これは、地域医療連携の目的に沿っていると思います。患者さんが必要な医療を受けられるよう、医療機関が連携してサポートすることが大切です。
e 医療機関の相互評価の推進
医療機関の相互評価は、質の高い医療を提供するために役立ちますが、地域医療連携の主たる目的とは言い難いです。
ころちゃん先生:素晴らしい分析ですね!では、最も適切な選択肢はどれだと思いますか?
生徒さん:考えた結果、選択肢dの切れ目のない医療の提供が地域医療連携の主たる目的だと思います。
ころちゃん先生:お見事です!選択肢dの切れ目のない医療の提供が地域医療連携の主たる目的です。患者さんが必要な医療を受けられるよう、医療機関が連携してサポートすることが大切です。
ころちゃん先生:それでは、一次から三次までの医療圏について、いくつかの質問をします。
一次医療圏は区市町村のことですか、それとも都道府県のことですか?
生徒さん:一次医療圏は区市町村のことです。
ころちゃん先生:正解です!次に、二次医療圏は何個かの区市町村がくっついた単位のことですか、それとも都道府県のことですか?
生徒さん:二次医療圏は何個かの区市町村がくっついた単位のことです。
ころちゃん先生:素晴らしい!最後に、三次医療圏は都道府県のことですか、それとも国全体のことですか?
生徒さん:三次医療圏は都道府県のことです。
ころちゃん先生:さて、医療圏についての説明を終えました。何か質問はありますか?
地域連携クリニカルパスと医療圏
生徒さん:先生、一次から三次までの医療圏において、それぞれの医療機関がどのように連携しているのか、具体的な例を教えていただけますか?
ころちゃん先生:素晴らしい質問ですね!それぞれの医療圏が連携している方法はいくつかありますが、一例として「地域連携クリニカルパス」が挙げられます。これは、急性期病院から回復期病院など、地域で共通したクリニカルパスを使って切れ目のない医療を提供するためのものです。これにより、患者さんは適切な段階で適切な医療機関に紹介され、効率的かつ安全な治療が受けられるようになります。他にも、医療機関間で情報共有を行ったり、病院から在宅医療に移行する際のサポートを行ったりすることで、連携が実現されています。
お疲れ様でした!
生徒さん:わかりやすい説明で助かります!今日は本当にありがとうございました!
ころちゃん先生:どういたしまして!