基礎科目

消毒薬液への浸漬による寸法変化が少ない印象材について

koro

ころちゃん先生:こんにちは!今日は、印象材の消毒薬液への浸漬による寸法変化について話しましょう。

生徒さん:はい、先生。お願いします。

ころちゃん先生:それでは、まずは印象材の種類をおさらいしましょう。

大きく分けて、ハイドロコロイド印象材とゴム質印象材があります。

ハイドロコロイド印象材には、寒天とアルジネートがありますね。

生徒さん:ええと、ゴム質印象材には、シリコーンゴム、ポリエーテルゴム、ポリサルファイドゴムがあるんでしたっけ?

ころちゃん先生:正解!素晴らしいですね。それでは、消毒液への浸漬による寸法変化が少ない印象材について説明しましょう。
まず、寒天とアルジネートはハイドロコロイド印象材で、消毒液に浸けると吸水して寸法変化が大きくなります。ちょうど、スポンジが水を吸って大きくなるように、寒天とアルジネートも同じようなことが起こります。

生徒さん:なるほど、じゃあ、ハイドロコロイド印象材は消毒液に浸けると寸法変化が大きいんですね。

ころちゃん先生:そうです!では、ゴム質印象材の中で、消毒液に浸けても寸法変化が少ないものはどれでしょうか?

生徒さん:うーん、シリコーンゴムですか?

ころちゃん先生:正解!シリコーンゴムは、吸水性がほとんどないので、消毒液に浸けても寸法変化が少ないです。例えば、ビニール袋に水を入れても、ビニール袋自体は水を吸わないでしょう?シリコーンゴムも同じような性質があります。

生徒さん:なるほど、じゃあポリエーテルゴムはどうなんですか?

ころちゃん先生:ポリエーテルゴムは、ゴム質印象材の中では例外的に吸水します。そのため、消毒液に浸けると寸法変化が大きくなります。ちょうど、シリコーンゴムがビニール袋のような性質だとすると、ポリエーテルゴムはスポンジに近い性質を持っていると言えますね。

生徒さん:そうなんですね。じゃあ、モデリングコンパウンドはどうなんですか?

ころちゃん先生:モデリングコンパウンドは、ゴム質印象材ではありませんが、吸水性がほとんどないため、消毒液に浸けても寸法変化が少ないです。これも、シリコーンゴムと同様にビニール袋に似た性質を持っていますね。

生徒さん:なるほど!じゃあ、印象採得後の水中保管で膨張するのはアルジネート印象材ですか?

ころちゃん先生:はい、正解です!アルジネート印象材は、水中保管で膨張します。そういった理由から、印象採得後は速やかに石膏模型を作成することが望ましいですね。

さて、
1. 印象物を水洗いした後、
2. グルタールアルデヒド溶液や次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒を行い、
3. 水洗・乾燥後に石膏模型を作成することが一般的です。

その際の濃度と時間についてもおさらいしておきましょう。

グルタールアルデヒド溶液は2%で、30〜60分浸漬します。次亜塩素酸ナトリウム溶液は0.05%~0.1%で、15〜30分浸漬します。

生徒さん:先生、ありがとうございます!

ころちゃん先生:それでは、問題100B-99を一緒にみていきましょう。


印象採得後、水中保管で膨張する印象材はどれでしょうか?選択肢は以下の通りです。

a アルジネート印象材
b ポリサルファイドゴム印象材
c シリコーンゴム印象材
d モデリングコンパウンド
e 印象用石膏


生徒さん:うーん、さっきの話だと、アルジネート印象材が水中で膨張するって言っていましたよね。

ころちゃん先生:そのとおりです!アルジネート印象材は、水中で吸水膨張を起こします。そのため、印象採得後は速やかに石膏模型を作成することが望ましいです。では、他の選択肢についても見てみましょう。

bのポリサルファイドゴム印象材、cのシリコーンゴム印象材、そしてdのモデリングコンパウンドは、水中保管で膨張を起こさない印象材です。特に、シリコーンゴムとモデリングコンパウンドは吸水性がほとんどありません。

eの印象用石膏は、印象材ではなく、印象物に型を取るために使用される材料です。これも水中で膨張を起こすことはありません。

生徒さん:なるほど、じゃあ正解はaのアルジネート印象材ですね!

ころちゃん先生:正解です!おめでとうございます!

ころちゃん先生:それでは、問題104A-54を一緒にみていきましょう。

消毒薬液への浸漬による寸法変化が少ない印象材は、次の選択肢のうち2つを選ぶ問題です。

a 寒天
b アルジネート
c シリコーンゴム
d ポリエーテルゴム
e モデリングコンパウンド

生徒さん:この問題は、吸水性が低い印象材を選ぶことがポイントですよね?

ころちゃん先生:そのとおり!じゃあ、各選択肢についてどう思いますか?

生徒さん:寒天とアルジネートはハイドロコロイド印象材だから、吸水性が高いんですよね。だから、この二つは適切じゃないと思います。

ころちゃん先生:素晴らしい!では、他の選択肢についてどう思いますか?

生徒さん:シリコーンゴムは吸水性がほとんどないって聞いたことがあるので、寸法変化が少ないんじゃないですか?

ころちゃん先生:そのとおり、シリコーンゴムは吸水性がほとんどなく、消毒薬液に浸けても寸法変化が少ないと言われています。では、次の選択肢は?

生徒さん:ポリエーテルゴムは、ゴム質印象材の中では吸水性があるんですよね。だから、寸法変化が大きいと考えられます。

ころちゃん先生:うん、その通り。ポリエーテルゴムはこの問題において適切な選択肢ではありません。最後に、モデリングコンパウンドはどうでしょうか?

生徒さん:モデリングコンパウンドは、吸水性がほとんどないと思います。だから、消毒薬液に浸けても寸法変化が少ないと考えられます。

ころちゃん先生:お見事!正解はシリコーンゴム(c)とモデリングコンパウンド(e)です。素晴らしい解説でしたね。これで問題104A-54の解説を終わりにしましょう

重要なところはここ

  1. 消毒薬液への浸漬で寸法変化が少ない印象材を選ぶことが目的。
  2. 寒天とアルジネートはハイドロコロイド印象材で、吸水性が高い。
  3. シリコーンゴム印象材とモデリングコンパウンドは、吸水性がほとんどなく、消毒薬液への浸漬で寸法変化が少ない。
  4. ポリエーテルゴム印象材は、ゴム質印象材の中で例外的に吸水性がある。
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歯科医師・歯学博士
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