神経伝達物質と受容体の関係
神経伝達物質とは?
生徒さん: 先生、神経伝達物質って何ですか?
ころちゃん先生: 神経伝達物質は、神経細胞間で情報を伝えるために使われる物質のことだよ。脳内や体内で起こるさまざまな反応や感覚を伝える役割を果たしているんだ。
神経伝達物質の種類
生徒さん: 神経伝達物質の種類はどんなものがあるんですか?
ころちゃん先生: いくつかの種類があるよ。アセチルコリンやノルアドレナリンなどの低分子伝達物質と、神経ペプチドと呼ばれる高分子・ペプチド類があるんだ。これらはそれぞれ違う働きを持っているよ。
生徒さん: そもそもなんですけど、、受容体って何ですか?
受容体の働き
ころちゃん先生: 受容体は、細胞の表面にある「鍵穴」のようなものだよ。神経伝達物質が「鍵」で、受容体に結合することで情報伝達が始まるんだ。受容体にはイオンチャネル型と代謝調節型の2種類があるよ。
今回の解説では、
・イオンチャネル型受容体
・Gタンパク質共役型受容体=代謝調節型
が登場するよ。
(受容体を4種類に分ける考え方が一般的ですが、今回はわかりやすいように2種類の分類を元に解説していきます。もちろん、代謝調節型はGタンパク質共役型受容体だけではありません。)
生徒さん: アミン類の神経伝達物質について教えてください。
アミン類の神経伝達物質
ころちゃん先生: もちろん!
アミン類にはアセチルコリンとカテコラミンがあるよ。アセチルコリンは神経筋接合部や自律神経系で働く神経伝達物質だね。
カテコラミンにはドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの3種類があって、それぞれが独立した神経系で働いているんだ。
興奮性と抑制性の神経伝達物質
生徒さん: 興奮性と抑制性の神経伝達物質について教えてください。
ころちゃん先生: 興奮性の神経伝達物質は、神経細胞を活性化させて、情報伝達を促進するものだよ。
例えば、グルタミン酸は興奮性シナプスで働く主要な神経伝達物質で、イオンチャネル型受容体であるNMDA受容体、AMPA受容体に作用するんだ。
一方、抑制性の神経伝達物質は、神経細胞の活動を抑えて、情報伝達を抑制するものだよ。GABA(ガンマ・アミノ酪酸)は代表的な抑制性神経伝達物質で、GABA受容体に作用することで、抑制性シナプス後電位が発生し、神経細胞の活動が抑制されるんだ。
生徒さん: それぞれの神経伝達物質がどんな生体反応に関与しているんですか?
ころちゃん先生: 良い質問だね!
一般的な例になるけど、
例えば、
・アセチルコリンは筋肉の収縮や記憶・学習に関与しているよ。
・ノルアドレナリンは、注意集中や覚醒状態に関与しているんだ。
・ドパミンは報酬系に関与し、快楽や動機付けに働いているよ。
・セロトニンは気分や睡眠に影響を与えるんだ。
生徒さん: すごい!神経伝達物質って本当に大切なんですね。
アセチルコリン受容体(ニコチン受容体とムスカリン受容体)
ころちゃん先生: さて、次は受容体について話そう。受容体は、神経伝達物質が効果を発揮するための細胞膜に存在するタンパク質なんだ。
生徒さん: どんな受容体があるんですか?
ころちゃん先生: アセチルコリン受容体には、ニコチン性受容体とムスカリン性受容体があるよ。
交感神経や副交感神経系で神経節でのシナプス伝達は主にニコチン性受容体を介するんだ。
(詳しくいうと、神経筋接合部の終板(骨格筋)と自律神経節の節後神経にはニコチン性ACh受容体が存在するよ。)
そしてニコチン性受容体は、イオンチャネルだよ。
生徒さん: ムスカリン性受容体はどうですか?
ころちゃん先生:ムスカリン性アセチルコリン受容体は、副交感神経系の節後線維の効果器(唾液腺など)に多く存在するよ。M1-M5の5つのサブタイプが存在するんだ。
そしてムスカリン性受容体は、Gタンパク質共役型受容体だよ。
(Gタンパク質共役形受容体については、別の機会で詳しく解説するね。)
生徒さん: じゃあ、ノルアドレナリンを受容するアドレナリン受容体はどうですか?
アドレナリン受容体
ころちゃん先生: アドレナリン受容体には、α受容体とβ受容体があるよ。それぞれさらに細分されるんだ。
生徒さん: それらの受容体はどんな機能を持っているんですか?
ころちゃん先生: 受容体は効果器細胞膜に存在し、血管平滑筋や膀胱括約筋の収縮や消化管平滑筋の緩、肝臓でのグリコーゲンの分解などの作用をもたらすよ。
ここは本当に多岐にわたっているんだ。
αおよびβ受容体はいずれもGTP結合タンパク質共役型で、セカンドメッセンジャーを介してリン酸化酵素の活性やイオンチャネルの開閉を調節するんだ。
(Gタンパク質のページで詳しく解説しているよ)
ころちゃん先生: ありがとう!じゃあ、次に進もう。神経伝達物質がどのように受容体と結びついて、生物学的効果が現れるかを見ていこう。
生徒さん: それはどのようなプロセスなんですか?
神経伝達物質が受容体に結合すると?
ころちゃん先生: 神経伝達物質は、シナプスの間隙を通って、受容体と結合するよ。そして、受容体が活性化されると、細胞内のイオンチャネルが開閉したり、酵素が活性化されたりして、生物学的効果が生じるんだ。
生徒さん: 例えばどんな生物学的効果がありますか?
ころちゃん先生: 例えば、アセチルコリンがニコチン性受容体と結合すると、イオンチャネルが開いて、ナトリウムイオンが細胞内に流れ込むことで興奮性の電気信号が生じるんだ。
また、アドレナリンがβ受容体と結合すると、細胞内でのセカンドメッセンジャー(例えば、cAMP)が増加し、酵素の活性が上がって、細胞の機能が変化するよ。
生徒さん: なるほど!神経伝達物質と受容体の結合は、どれくらい強いんですか?
ころちゃん先生: 神経伝達物質と受容体の結合は、通常は一時的で、結合力は中程度だよ。神経伝達物質の濃度が低下すると、受容体から外れることがある。これによって、細胞の応答が速やかに制御されるんだ。
生徒さん: 神経伝達物質と受容体の関係がこんなに複雑だなんて知らなかったです。ありがとうございました。