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金属の熱処理って何?

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熱処理って何?

生徒さん: 先生、歯科用貴金属合金の熱処理って何ですか?

ころちゃん先生: 熱処理とは、歯科用貴金属合金の機械的性質を改善するために行われる加熱と冷却のプロセスだよ。これにより、合金の硬さや耐力、引張強さが向上するんだ。

熱処理の種類と方法

生徒さん: それは面白いですね。では、どのような熱処理がありますか?

ころちゃん先生: いろいろな熱処理があるよ。
例えば、ISOタイプ3,4鋳造用金合金の場合、700℃で10分間加熱してから急冷し、450℃で2分間加熱保持してから炉内で除冷して放冷するんだ。
金銀パラジウム合金や14カラット合金もそれぞれ独自の熱処理方法があるよ。

合金によって、プロセスが微妙に異なるんだけど、そこまでは不要だと思う。

熱処理の目的

生徒さん: そうなんですね。じゃあ熱処理の目的は何ですか?

ころちゃん先生: 熱処理の目的は、規則格子の生成や析出物による硬化を促進して、合金の機械的性質を向上させることだよ。ちょっと難しい話だけど、規則格子が生成されたり、析出物ができることで、合金の硬さや強さが増すんだ。

規則格子の生成と機械的性質への影響

生徒さん: たくさん難しい単語が、、。「規則格子」って何ですか?

ころちゃん先生: 規則格子とは、金属結晶の中の原子が規則正しい配列を持っている状態のことだよ。金銅系合金やパラジウム鋼系合金、白金銅系合金などが規則格子を生成するよ。規則格子の種類によって、機械的性質が影響されるんだ。

生徒さん: なるほど、規則格子が合金の硬さや強さに影響を与えるんですね。では、どのような影響があるのでしょうか?

ころちゃん先生: そうだね。規則格子が生成されることで、結晶格子の中にひずみが生じるんだ。このひずみがあることで、合金中の転位(原子がずれる現象)の移動が困難になり、合金の硬さや耐力、引張強さが向上するんだよ。

硬化熱処理と軟化熱処理

生徒さん: さっき、硬化熱処理や軟化熱処理という言葉が出てきましたが、それらは何ですか?

ころちゃん先生: 良い質問だね!硬化熱処理は、規則格子の生成や微細な析出物によって合金を硬化させる熱処理のことだよ。一方、軟化熱処理は、急冷によって過飽和状態の固溶体が得られ、合金が軟化する熱処理のことなんだ。

生徒さん: それぞれどのような場合に適用されますか?

ころちゃん先生: 硬化熱処理は、歯科用金合金や金銀パラジウム合金など、口腔内で使用される金属に適用されることが多いよ。一方、軟化熱処理は、銀銅系合金や金銅系合金など、加工が容易な状態が求められる場合に適用されることがあるよ。

時効硬化処理

生徒さん: 時効硬化処理ってなんですか?過去問で見たことがあります。
硬化熱処理や軟化熱処理とは違うものなんですか?

ころちゃん先生: 時効硬化処理について質問してくれてありがとう!
時効硬化処理は、硬化熱処理の一種で、合金を一定の温度で一定時間保持することによって、硬さや耐力を向上させる熱処理方法だよ。

軟化熱処理は、合金を急冷して過飽和固溶体を作り、合金を軟化させることを目的としているのに対して、硬化熱処理(時効硬化処理を含む)は、合金の機械的性質を向上させることを目的としているんだ。

時効硬化処理では、合金を適切な温度で加熱し、一定時間保持することで、微細な析出物が生成される。この析出物が結晶格子内に分布することで、転位の移動が困難になり、合金の硬さや耐力が向上するんだよ。

時効硬化処理は、アルミニウム合金や銅合金、ニッケル合金など、特定の合金に適用される熱処理方法だね。例えば、アルミニウム合金では、時効硬化処理によって、飛行機や自動車などの軽量構造部品に適した強度や耐腐食性が得られるんだ。

生徒さん: なるほど、時効硬化処理は硬化熱処理の一種で、一定時間保持して硬さや耐力を向上させるんですね!勉強になります。ありがとうございます!

熱処理が可能な歯科用貴金属合金

生徒さん: 歯科用貴金属合金にはどのような種類がありますか?

ころちゃん先生: 歯科用貴金属合金には、鋳造用金合金のタイプ3やタイプ4、18・16・14カラット金合金、鋳造用金銀パラジウム合金、陶材焼付用金合金などがあるよ。

熱処理が適用される歯科用貴金属合金の例は以下の通りだね:

  1. 鋳造用金合金(タイプ3、タイプ4)
  2. 金銀パラジウム合金
  3. 白金加金合金
  4. 18, 16, 14カラット金合金
  5. 陶材焼付用金合金


    例えば、タイプ3およびタイプ4の鋳造用金合金は、溶体化処理と硬化熱処理が適用されることが多いよ。これらの処理により、歯科用金合金の機械的性質が向上し、歯科用途に適した性能が得られるんだ。

また、金銀パラジウム合金や白金加金合金も熱処理が可能で、機械的性質や耐腐食性が改善されるよ。陶材焼付用金合金も熱処理を行うことで、焼付け時の陶材との密着性や審美性が向上するんだ。

生徒さん: 熱処理についてたくさん勉強になりました!ありがとうございます!

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ころちゃん
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歯科医師・歯学博士
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