陶材焼付用合金について
ころちゃん先生: こんにちは、生徒さん!今回は、歯科用の陶材焼付用合金について学んでいきましょう。この合金は、歯科メタルセラミック修復に使われるんですよ。
歯科メタルセラミック修復っていうのは、メタルボンドなどと呼ばれていて、金属冠に陶材を貼り付けたものをイメージするとわかりやすいよ!
はじめに
生徒さん: 陶材焼付用合金って、どんな合金なんですか?
ころちゃん先生: それでは、まずは陶材焼付用金合金の種類と特性から見ていきましょう。
陶材焼付用金合金の種類と特性
ころちゃん先生: 陶材焼付用金合金は、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金としてJISで規定されていて、金や白金族元素を35%以上含んでいるんです。そして、機械的性質によってタイプ2からタイプ4までの3種類に分類されます。
タイプ1からではなくて、タイプ2からなんだ。ややこしいよね。
ちなみに後述するけど、陶材焼付用の合金には「貴金属合金」と「非貴金属合金」に分けられるよ。
今は、貴金属合金について解説しているからね。
生徒さん: なるほど。では、陶材焼付用金合金にはどんな特別な性質が要求されるんですか?
陶材焼付用金合金の所要性質と対策
ころちゃん先生: 陶材焼付用金合金は、通常のクラウンやブリッジと違って、陶材と組み合わせて使われるため、特別な性質が求められるんだ。
例えば、陶材との熱膨張係数が近いことや、焼成温度で融解や永久変形を起こさないことなどだよ。それぞれの性質を達成するために、さまざまな金属元素が添加されるんだ。
生徒さん: どんな金属元素が添加されるんですか?
ころちゃん先生: たとえば、
・白金やパラジウムが多く含まれることで、陶材との熱膨張係数が近似するようになる。
・また、インジウムやスズが添加されることで、陶材のぬれが良くなり、合金に対する陶材の焼付強度が向上するよ。
生徒さん: なるほど!様々な金属を混ぜることで、物性をコントロールしているんですね。これは金銀パラジウム合金などと同じ考え方ですね!
陶材焼付用金合金の組成と諸性質
ころちゃん先生: そうだね。よく覚えていたね!
陶材焼付用金合金には、高カラット系と低カラット系の2種類があるんだ。高カラット系は、広範囲の合金組成を持つものが市販されているよ。
一方、低カラット系は、パラジウム基合金が主体となっています。成分中のその他には、スズ、インジウム、鉄、イリジウムなどが含まれています。
生徒さん: 白金やパラジウムが添加される目的は何ですか?
ころちゃん先生: 白金やパラジウムが添加される目的は、咬合圧によって金属がたわむことを防ぎ、陶材が剥離や折れる危険を減らすためだよ。
具体的には、機械的性質(特に弾性係数と硬さ)の増加や、融解温度の上昇、熱膨張係数の低下などが挙げられるよ。
生徒さん: では、陶材焼付用金合金には銀や銅は含まれていないんですか?
ころちゃん先生: 銀は陶材の色調に影響を与えるため、わずかしか添加されないよ。
一方、銅は通常のクラウン・ブリッジ用金合金では時効硬化を発現する役割を持つんだけど、陶材焼付用としては、銅の酸化膜によって陶材を着色させるため、一般的には添加されないよ。
だけど、陶材焼付用金合金も、硬化熱処理が可能なんだ。銅が含まれていないのにね!これは、パラジウムと金の反応によってなされるとされているよ。
生徒さん: それなら、陶材焼付用金合金はどんな埋没材が使われるんですか?
陶材焼付用金合金の埋没材
ころちゃん先生: 陶材焼付用金合金は、融解温度が通常の金合金や金銀パラジウム合金より高いため、埋没材としては石膏系でなく、耐熱性の高いリン酸塩系が用いられるよ。
生徒さん:さっき少しあったと思うんですけど、 金合金以外の陶材焼付用金属材料はどのようなものがありますか?
その他の陶材焼付用合金
ころちゃん先生: 金合金以外の陶材焼付用金属材料は、歯科メタルセラミック修復用「非貴金属材料」として規定されているね。
化学成分として金もしくは白金族元素が35%未満、または金および白金族元素の合計が35%未満の金属材料を指しすよ。機械的性質によって、タイプ2からタイプ5までの4種類に分類されるんだけど、ここはそんなに無理やり覚えたりしなくてもいいよ。
市販されているものとしてニッケルクロム系合金があるよ。だけど、ニッケルによる金属アレルギーが懸念されるため、使用されなくなっているんだ。
生徒さん: なるほど、アレルギー問題があるんですね。今回の話で学んだことを簡単にまとめていただけますか?
まとめ
ころちゃん先生: もちろんだよ!陶材焼付用合金について、箇条書きでわかりやすくまとめますね。
陶材焼付用合金は、歯科用メタルセラミック修復に使われる。
規定されている主な化学成分は、金もしくは白金族元素が35%以上。
高カラット系と低カラット系の金合金があります。
白金やパラジウムが添加される目的は、機械的性質の向上や融解温度の上昇、熱膨張係数の低下など。
金合金以外の陶材焼付用金属材料は、歯科メタルセラミック修復用非貴金属材料として規定されている。
ニッケルクロム系合金が非貴金属材料の一例ですが、金属アレルギーの懸念があり、使用が減っています。
これらのポイントを押さえておけば、陶材焼付用合金に関する基本的な知識が身につくと思います。