骨補填材について
骨再生に関与する能力
生徒さん:骨再生に関与する能力は、「骨形成能」「骨誘導能」「骨伝導能」の3つの違いが、イメージがつきにくいです。
ころちゃん先生:骨再生に関与する能力は「骨形成能」「骨誘導能」「骨伝導能」の3つがあるけれど、イメージがつきにくいよね。それじゃあ、例え話を使って解説してみるね。
骨形成能は、新しい家を建てるときにすぐに働き手が集まって、家を建てるスピードが速いというイメージだよ。つまり、骨形成細胞がすぐに動員されて、新しい骨がすぐに形成される能力だね。
骨誘導能は、家を建てるために必要な働き手を呼び集める能力のことだよ。例えば、建築現場で大工さんや電気屋さんを集めるようなイメージだね。これによって、骨を形成する細胞が集まって骨が生成されるんだ。
骨伝導能は、家を建てるための土地や足場を提供する能力だよ。土地がしっかりしていれば、家が安定して建てられるよね。骨伝導能が高いほど、新しい骨が形成される土台がしっかりしているということだね。
この3つの能力を組み合わせて、骨の再生が行われるんだ。骨形成能で働き手が集まり、骨誘導能で骨を形成する細胞が呼び集められ、骨伝導能でしっかりした土台ができることで、骨の再生がうまく進むんだよ。
この3つの違いをまずは押さえておいた方がいいけど、具体例がないとイメージしずらいよね?
自家骨って知ってる?
自家骨について
生徒さん:うーん、うまく説明できないです。
ころちゃん先生:自家骨はね、患者自身から採取した骨のことだよ。自家骨は骨形成能、骨誘導能、骨伝導能をすべて持っていて、理想的な骨移植材料なんだ。自家骨を使うと、新しい骨がスムーズに作られて移植されるんだよ。
他家骨について
生徒さん:じゃあ他家骨ってどんな種類があるんですか?
ころちゃん先生:他家骨には、「同種骨」と「異種骨」の2つの種類があるよ。
同種骨の特徴
生徒さん:同種骨って何ですか?
ころちゃん先生:同種骨は、ヒトのドナーから供給された骨を脱灰や凍結乾燥処理したものだよ。骨誘導能と骨伝導能を持っているんだ。ヒト脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)やヒト凍結乾燥骨(DFBA)がその例だね。
異種骨の特徴
生徒さん:異種骨はどんなものですか?
ころちゃん先生:異種骨は、ウシなどの動物由来の骨を焼成した無機質のことだよ。異種骨は骨伝導能を持っているんだ。
人工骨(代用骨)について
生徒さん:人工骨(代用骨)にも種類があるんですか?
ころちゃん先生:そうだよ!人工骨(代用骨)には主に「ハイドロキシアパタイト」と「リン酸三カルシウム」の2つの種類があるんだ。
ハイドロキシアパタイトの特徴
生徒さん:ハイドロキシアパタイトってどんな特徴があるんですか?
ころちゃん先生:ハイドロキシアパタイトは、生体親和性が高い非吸収性材料で、骨伝導能を持っているんだ(。骨伝導能は良好だけど、骨内で吸収されず顆粒がそのまま残ることがあるんだよ。
リン酸三カルシウムの特徴
生徒さん:リン酸三カルシウムはどういう特徴がありますか?
ころちゃん先生:リン酸三カルシウムは、生体親和性が高く骨伝導能を持っているんだ。徐々に生体内で吸収されるから、ハイドロキシアパタイトよりも溶解性が大きいんだよ(B-TCP, α-TCP)。
ポリ乳酸は骨補填材?
生徒さん:過去問で見たんですけど「ポリ乳酸」は骨補填材じゃないんですか?
ころちゃん先生:いい質問だね!「ポリ乳酸」は遮断膜や縫合時に使われることが多いけど、骨補填材としては一般的には使われないんだ。
ちなみに遮断膜の主な目的は、再生するために必要な細胞以外の遊走や増殖を物理的に遮断することだよ。これによって、骨再生に必要な細胞が適切な場所で働くことができるんだ。GTRとかGBRとかの話だね。
一方で、骨補填材は骨欠損部分に直接入れて、骨再生のプロセスをサポートする役割があるんだ。骨形成能、骨誘導能、骨伝導能といった骨再生に関与する能力を持っている材料が選ばれることが多いよ。
「ポリ乳酸」は、GBRのとき、吸収性遮断膜として使われることが多く、縫合や骨接合用にも用いられることがあるけど、骨補填材としては一般的には使われないんだ。それは、骨補填材としての骨再生能力には限りがあるからだよ。
まとめ
生徒さん:今日はありがとうございました、ころちゃん先生!骨補填材についていろいろ勉強になりました。
ころちゃん先生:どういたしまして!骨補填材は歯学部の試験にも出る重要なトピックだから、しっかり覚えておこう。