基礎の大切さ
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基礎と口外が苦手なんですが、どうやって勉強されたかお聞きしてもいいですか?
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口外は臨床系科目ですけど、
・解剖
・病理
といった基礎系科目と密接につながっています。
一般的に口外が苦手な学生さんは、上記の基礎系科目がもれなく苦手であるパターンが多いです。
でもこれって、口外だけに限ったことではないはずです。
一例ですけど、
ちょうど今日Twitterに
「う蝕円錐」についての投稿をしたので、
それを例にして「基礎の重要さ」についてお話しさせください。
この内容に目を通していただけると質問の回答になるかと思います。
エナメル質のう蝕円錐は、
・小窩裂孔部の円錐の向きと
・平滑面の円錐の向き
が異なります。
これはエナメル小柱の走行の向きに起因しています。(ちなみにここは組織学ですよね)
で、この保存修復の基礎知識を踏まえた上で次の問題を読んでみてください。
正解は
a う窩の開拡 です
Aの写真を見ると、エナメル質の白濁が確認されます。
ですからまだ表層のエナメル質は残存している。
しかしBの写真を見ると、う蝕が象牙質まで進行していることは明らかです。
これって、さっきのう蝕円錐の話に繋がります。
エナメル質ではう蝕が深部に到達するにつれ円錐が大きくなる。
だからう窩の開拡をしないとう蝕の全体像をつかむことができない。
こうなってくると、cのう蝕検知液の適下がなぜ違うのかが説明できます。
う窩の開拡をしないとう蝕の全体像をつかむことができない。
この段階で検知液を垂らしたところで、
う蝕全体に検知液を染み込ませることができないからですよね?
eの遊離エナメル質の除去もおかしいということが分かるはずです。
遊離エナメル質とは、象牙質の裏打ちのないエナメル質のことですけど、
まだう蝕の全体像をつかんでいない状態なのに
軟化象牙質の除去が終了しているはずがないですよね。
ですからeの選択肢は、順序的にありえないので消去できます。
話を戻しますね。
いま取り扱った修復の内容にしても、論理的に選択肢を消去するためには
基礎的な知識が重要になってくることが明らかだと思います。
質問の
「基礎と口外が苦手なんですが、どうやって勉強されたかお聞きしてもいいですか?」
という質問を読んだときに
もしかしたら解剖や病理が弱い→口外が苦手
つまり口外が苦手というより、解剖や病理の知識がまだ必要十分に達しておらず、
・過去問集の解説を読んでも内容が頭に入ってこなかったり、
・問題を解いていて、選択肢を論理的に消去ができない
といった現象が発生して、苦手意識が強くなっているんじゃないかなと考えました。
そこで「どうやって勉強したらいいか」という質問に対して
まずは解剖や病理の本当に基礎的な内容を、もう一度おさらいしなおす
という勉強をしていただけると解決に繋がるのかな、と思いました。
参考になれば幸いです。